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アチーバスで起きたパラダイムシフト

アチーバスというゲームのインストラクターをやっています。
せっかくブログを立ち上げたので、今回はインストラクターになったきっかけについて書こうと思います。

(本内容は、2019年アチーバスジャパン刊行の「アチーバスブック」に寄稿した記事をリライトしたものです)

アチーバスとは

カードには、過去の偉大な成功者たちの、行動原則が書かれています

チームで協力達成するプロセスと成果を体験できる教育系ゲームです。
ゲームといっても、みんなでがんばってペーパータワーやドミノをつくる!というような力技系のものではありません。

アチーバスの名前は、英語の「Achieve」「Us」の掛け合わせに由来します。
わたしたちで達成する」「わたしたちの目標を達成する」という意味が込められています。

ゲームというと、
誰かが勝って、誰かが負ける。
他の人を出し抜いたり蹴落としたりして、自分がいちばんになる。
というイメージがありますが、

そうではなく、
個人の勝ち負けではなく、メンバーと協力して初めてあがれる。
そんな不思議なゲームです。

チームの力、つまり「1+1=3」の成果と、そのよろこびを、体験できます。

ゲームをやるにあたってスキルや知識は必要ありません。
お互いをあだ名で呼び合いながら、立場を超えたフラットな関係性で、目標達成を目指すのです。

そしてゲームの後の振り返り(語りーバス)で、ゲーム中に起こったことや感じたこと、自分やメンバーの振る舞いを振り返り、日常生活との関連を考えます。

アチーバスは玩具店や雑貨店では販売しておらず、こちらのサイトからのみ購入できます。

もし次のようなご要望がありましたら、お近くのインストラクター1 にアクセスしたり、わたしたちトレーナーが開催している体験会(ゲーム会)に参加してみることをオススメします。

アチーバスに関するご要望
  • 購入する前に試してみたい
  • 購入したけれど、楽しみ方や価値がいまいちわからない
  • いろんな人と楽しみたい、あるいは自分のチームのメンバーでやってみたい

以降では、わたしがアチーバスのインストラクターの資格を取り、活動しようと思った背景を書こうと思います。

職場での苦しみ

2013年、今から10年くらい前のことです。
8年ほど所属していた部署とは全然違う部署に、望まない異動に遭いました。

仕事の性質と、チームのメンバーの両方が、がらっと変わりました。
いっぺんに両方が未知の状態になり、業務を遂行していくうえでとてもつらいものがありました。
それまでに得た知識があまり役に立たず、仕事が進まない日々。
部下からは「あなたは何をやっているのか」と厳しい言葉をかけられました。

新しい業務での役割と責任から逃げ、その結果周りとのコミュニケーションを避けていました。
部下や上司に弱気の表情を見られたくなくて、風邪でもないのにマスクをして毎日出社していたほどです。

これまでの経験が通用しない。キャリアがリセットされた。
そんなふうに感じて、完全に自信を失いました。

そのころはこんなことばかり考えていました。
「なぜ上司や先輩たちは、わたしに親切に指導してくれないのか」
「わたしのことを仕事ができない人だと馬鹿にしているのではないか」
「わたしは、この部署には、この世には、必要のない人間なのだ」

余裕がなくつらいときって、本人にしかわからない、盲目な状態になりますよね。

アチーバスとの出会い

初めてアチーバスの体験会に参加したのは、そのプロジェクトが終わってから2年後のことでした。
わたしの様子を心配してくれていた別の部署の先輩が、当時近隣で開催していた体験会に、連れて行ってくれたのです。あとで聞いたときには「こういうのがすきかもしれないなと思ってね」とのことでした。

この初めてアチーバスをやったとき、わたしはこのゲームの面白さ、奥深さがわかりませんでした。
ゲームの手順を理解するのが精一杯。
結果も、わたしが参加したチームは、ゲームのゴールであるアチーバス同盟には至りませんでした。

ただ、ゴールできなかったことや、ゲーム後にゲーム中の自分が感じたことを振り返ったことで、なんとなくこの一度では終われない、またやってみたいという感覚が残りました。

アチーバスで起こったパラダイム・シフト

そうしてその後もゲームの体験会に参加して、3回目か4回目のときだったと思います。
同じテーブルのメンバーの様子を見て、メンバーが真剣にゲームに取り組んでいることに気づきました。
そしてその日のゲームの後で、ふとこう思ったのです。

「ひとりひとりがそれぞれに物事を良くしようとして行動しているのだな」
「自分はゲーム中に失敗したなと思ったことがあったけど、それを誰も咎めないのだな」

そしてそのことが、なぜかつらかった当時の職場・プロジェクトのこととリンクしました。

きっと、誰もわたしのことを馬鹿にしているのではなかった。
みんなが自分の仕事をそれぞれにまっとうしているだけで、誰もわたしに不親切にしたり、わたしを困らせようとしたりしているわけじゃなかった。
周りを悪者にして、自分自身をも貶めていたのは、自分だったのだ。

たった一度の気づきが、自分で自分の周りにつくっていた分厚い氷の壁を貫き通し、溶かしていきました。
いわゆるメタ認知です。

わたしは、アチーバスの17原則やふりかえりの内容以上に、アチーバスの場そのものから、気づきを得たのでした。

インストラクターの活動を決意

これを自分の職場でもやりたい。

わたしと同じように職場で悩んでいる人が他にもいるとしたら、同じような体験をするきっかけがあったならどんなに素晴らしいだろう。
社員ひとりひとりがほんの一歩ずつ変われたら、きっと笑顔があふれる素晴らしい組織になるのではないか。そんな夢を描きました。

一方で、インストラクターになることを悩みもしました。
これまで他に何の特技も知識もない、人に尊敬されるところもない自分が、アチーバスを、17原則を、語ってもよいのだろうか。
わたしに、アチーバスを続けていけるのか。
その責任に耐えられるのか。

結局は、夢に向かう気持ちが勝ち、周りの人が応援してくれて、インストラクター資格を取ることに決めました。

そしてそれならば、17原則を少しでも体現する人になろうということも、心に誓いました。

インストラクターとしての抱負

物事の考え方や人間関係について、何か課題意識を持っているひと、生きづらいと感じている人が、何かに気づく体験をするきっかけになればと思い、アチーバス体験会を開催しています。

そして体験会を継続していく中で、アチーバスを使った社員研修や、お子さんへの指導の場をいただくことも増えていきました。

またアチーバスの日本語版翻訳チーム2 や、アチーバス協会の理事チームといった、アチーバスの組織に関わるチャンスも得ることができました。

そんなわたしの目標は、自分の体験を自分の言葉で多くの人に伝えられる人になることです。
実際のところは、アチーバスを自分の職場の研修にはほとんど取り入れられていませんから、人に何かを語る前にやらないといけないことは、きっとまだたくさんあります。

そして夢を叶えるためには、何よりも、アチーバスに関わる活動を粘り強くつづけていくことが大切だと思っています。初心、感謝、自分事の3つを忘れず、一回一回のアチーバス体験会の場を、大切に扱っていきたいです。

  1. アチーバスでは協会認定インストラクターのことを「トレーナー」と言っています。「教えない」ファシリテーター役です。^^ []
  2. 元々はアメリカの方がつくったゲームで、カードや説明書はすべて英語でした。今入手できるゲームのキットは日本語に翻訳されています。 []
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